三階席のメモ(歌舞伎が多め)

三階席の素人客が、感想メモやら気になった記事をとっておいた。この場を借りて自身の備忘録とする。

『仮名手本忠臣蔵』「二段目」の備忘録 〜〜錦絵〜〜

図はすべて「早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム」より
https://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/vm/digitalukiyoemuseum/2017/06/post-95.html

明和6年(1769) 5月 江戸市村座 本蔵=3市川團蔵

古めかしいこの作品は勝川春章の作。松を伐った本蔵は三代目市川團蔵。このときの若狭之助は四代目坂東又太郎。この興行の師直は実悪を得意として名高い、二代目中島三甫右衛門。

f:id:kabukich:20200329160249j:plain

明和6年5月 江戸市村座 加古川本蔵=3市川団蔵
寛政13年(1801) 2月 江戸中村座 本蔵=4市川團蔵 小浪=2小佐川七蔵 戸無瀬=2瀬川菊三郎(水無瀬=1市川おの江)

初代豊国の作。幕切れの本蔵が馬を引立て、師直の屋敷へ向かうのを、どこへと戸無瀬が留める場面。本蔵は四代目市川團蔵となっている。

f:id:kabukich:20120620105312j:plain

文化7年(1810) 若狭=7市川團十郎 本蔵=3坂東三津五郎 力弥=5岩井半四郎

勝川春亭の「役者見立忠臣蔵 二段目」という作。本蔵が若狭之助に金打を求められ、誓いを立てている。その奥で力弥と小浪が一緒に収められている。

f:id:kabukich:20200329161107j:plain

文化8年(1811) 7月 江戸中村座 本蔵=3中村歌右衛門 戸無瀬=4瀬川路考

初代豊国の作。松を伐る歌右衛門の本蔵。この絵の本蔵は胡麻の頭ではない。戸無瀬は四代目の菊之丞を追贈された路考。この興行中、若狭之助は三代目坂東彦三郎、力弥は瀬川銀次郎、小浪は二代目の尾上栄三郎。

f:id:kabukich:20200329153720j:plain

文化8年(1811)7月 江戸中村座  加古川本蔵 =3中村歌右衛門 女房となせ=4瀬川路考
文化11年(1814) 4月 江戸中村座 戸無瀬=3坂東三津五郎 力弥=2市川伝蔵 小浪=2尾上松助

初代国貞の絵。力弥の口上を小浪が受けるのを、戸無瀬が様子を窺う艶っぽい場面。小浪は松助は後の三代目菊五郎。力弥の伝蔵は後の三代目市川門之助

f:id:kabukich:20200329155559j:plain
f:id:kabukich:20200329155601j:plain
f:id:kabukich:20200329155605j:plain
文化11年(1814) 4月 江戸中村座 本蔵=1市川市蔵 若狭之助=2尾上松助

初代歌川国貞の絵。松を伐り、若狭之助へ勇みをつける初代市川市蔵の本蔵。市川市蔵は初め四代目團蔵の門に入り、後に七代目團十郎門下へ、初代市川蝦十郎を名乗る。 

f:id:kabukich:20200329155326j:plain
f:id:kabukich:20200329155329j:plain
文化13年(1816) 7月 本蔵=3坂東三津五郎 若狭=7市川團十郎

歌川国安の作。三代目坂東三津五郎の本蔵と七代目市川團十郎の若狭。庭先の松でなく盆栽の松を伐っている。盆栽を伐るのは建長寺じみているが、この場は桃井館となっている。役者の工夫も様々なようだ。

f:id:kabukich:20200329154937j:plain
f:id:kabukich:20200329154932j:plain

 

文化13年(1816) 7月 本蔵=3坂東三津五郎 戸無瀬=3中村松江

初代豊国の作。本蔵の行手を阻む松江の戸無瀬。三津五郎の本蔵が変わっている。剥身のような化粧をとり、胡麻の頭ではない。

f:id:kabukich:20200329154620j:plain
f:id:kabukich:20200329154625j:plain
文政8年(1825) 7月 江戸中村座 本蔵=5松本幸四郎

初代国貞の作。松を見込んで束に立つ鼻高幸四郎。昔はここでたっぷりと芝居をしたのであろうか。

f:id:kabukich:20200329153901j:plain

嘉永2年(1849) 9月 大坂筑後の芝居 若狭之助=2片岡我童

五粽亭広貞の作。二代目我童、後の八代目仁左衛門の若狭之助。刀を見つめて師直への復讐の意志を固めたのだろうか。このときの本蔵は四代目三枡大五郎

f:id:kabukich:20200329162306j:plain

嘉永4年(1851) 2月 江戸市村座 本蔵=2市川九蔵

国芳の作。「建長寺」で演じられた。本蔵は二代目市川九蔵、後の六代目市川團蔵。床の間の盆栽を後ろを向いて伐っている。昭和61年の羽左衛門の本蔵もそうしていた。

f:id:kabukich:20200329160713j:plain

安政6年(1859) 9月 江戸市村座 力弥=3岩井粂三郎 小浪=13市村羽左衛門

 三代目豊国の作。力弥は後の八代目岩井半四郎となる三代目の粂三郎。小浪は後の五代目尾上菊五郎となる十三代目市村羽左衛門。古風とされている型で、小浪は丸型の茶卓の穴から力弥の顔を覗いている。

f:id:kabukich:20200329160110j:plain
f:id:kabukich:20200329160109j:plain
文久2年(1862) 3月 江戸中村座 力弥=3澤村田之助 小浪=2澤村訥升

三代目豊国の作品。針打をさらに一層太くしたような大時代な髷が目を惹く、田之助の力弥。現田之助が力弥を演じた際の衣装に似ているが、先祖の田之助の絵を参考にしたのだろうか。

f:id:kabukich:20200329165413j:plain

文久2年(1862) 3月 江戸中村座 本蔵=1坂東亀蔵 若狭=8片岡仁左衛門

国明の作。初代坂東亀蔵の本蔵が松を伐る場面。それをじっと見つめる八代目片岡仁左衛門の図。亀蔵はこの本蔵の他、高師直、原郷右衛門、天川屋義平を演じている。本蔵という役の位取りの一端をうかがえる。

f:id:kabukich:20200329165235j:plain

慶応元年(1865) 1月 本蔵=1中村雀右衛門 若狭=2市川滝十郎 戸無瀬=中村千之助 力弥=2片岡我当 小浪=2實川延三郎

芳滝の見立作。二段目の見せ所が詰まった画面である。二段目中の名場面が詰まっているだけに、眺めているだけで、台詞が聞こえてきそうだ。和事を得意とした二代目の片岡我當の力弥。本蔵は”実悪の開山”と称された初代中村雀右衛門f:id:kabukich:20200329160600j:plain